No.56 (明清の社会)  : 

「明代で中国経済はどう変化したか?」

宋・元代に水田地帯であった長江下流域の「蘇湖」地方が絹・綿織物の手工業の
中心地となり、代わって中流域の「湖広」地方が明・清代の水田地帯となった。また
同郷者の同業組合である会館・公所や、大商人グループの山西商人・新安商人が
登場。加えて、日本銀・メキシコ銀の流入で銀経済が発展した。

<評価の観点>
関心・意欲・態度:
我が国との関係としては、中国が輸入した日本銀が、またヨーロッパとの関わりとし
ては、新大陸経営が中国にもたらしたメキシコ銀が、税制を含めて中国経済を大き
く変えたという世界史的なスケールの事実に、大きな関心を持って学習に取り組ん
でいる。

思考・判断:
春秋戦国時代の鉄器の普及と青銅貨幣の流通、唐代後半の商品経済の活発化と
比肩できる、明代の銀経済の発達について的確に判断している。

資料活用の技能・表現:
宋・元代の「蘇湖熟すれば天下足る」と明・清代の「湖広熟すれば天下足る」を、それ
ぞれの時代の中国における、米作地帯の変化を比較する資料として有効に活用して
いる。

知識・理解:
唐代後半の商品経済の活発化に端緒を開いた、中国の経済都市や商工業の発達が、
明代中頃からの銀経済によってさらに促進されたことについて、基本的な知識を身に
つけている。